実験所周辺の環境


● 地域の環境

 英虞湾は志摩半島の東南端に位置し,前島(さきしま)半島によって熊野灘から隔離されている.海岸線は複雑で,いわゆるリアス式海岸を形成している.湾口は西向きで狭く,水深15 m程度と浅いため,台風などによる大波やうねりの影響はほとんどない.湾内は閉鎖的な環境であるが,流入河川がほとんどないため,塩分はあまり低下しない.湾内の最大水深は約35 mである.英虞湾中央部水深5 m層の水温は,冬期で10~12℃,夏期で27~29℃,また塩分は年間を通じて通常28~32PSUである.

 座賀島は英虞湾中央部,前島半島北岸に隣接して位置する,北西-南東方向約800 m,北東-南西方向約300 mの小島である.島内は大部分がツバキ,ヤマモモ,ウバメガシなどの照葉樹からなる雑木林で覆われ,暖地性シダ群落もある.海岸線は湾口に向かう西側では主に磯+転石,東側では転石+砂泥浜である.

● 採集可能な実験生物

  • 魚類
    • ドチザメ,ゴンズイ,ボラ,メバル,カサゴ,クジメ,アナハゼ類,イサキ,シマイサキ,シロギス,メジナ,クロサギ,タカノハダイ,マアジ,ブリ,ギンポ,ダイナンギンポ,ネズミゴチ,トビヌメリ,サツキハゼ,ドロメ,キヌバリ,スジハゼ,シマハゼ,キュウセン,ササノハベラ,ブダイ,カワハギ,アミメハギ,ヒガンフグ,コモンフグなど.
  • 甲殻類
    • イセエビ,オウギガニ,イソガニ,ヒライソガニ,イシガニ,ベニツケガニ,ショウジンガニなど.
  • 軟体類
    • ヒザラガイ,アサリ,ヒオウギ,アコヤガイ,マガキ,ムラサキイガイ,アワビ類,トコブシ,サ ザエ,アメフラシ,コウイカ,アオリイカ,マダコなど.
  • 海藻類
    • アナアオサ,ヒトエグサ,ミル,ホンダワラ類,モズク,ワカメ,アラメ,カジメ,マクサなど.

● 付近の主な漁業

 英虞湾およびその周辺海域の漁業は主として定置網,刺網,一本釣り,曳縄,延縄,磯漁業,および養殖漁業に大別される.
ブリを対象とした大型定置網は太平洋岸に2統あり,秋から翌春にかけて操業される.イワシ類を対象にした中型定置網は湾口を中心に数統あり,また沿岸性雑魚を対象とした小型定置網とつぼ網類は太平洋岸および英虞湾内の各所にみられ,これらはほぼ周年にわたって操業されている.
刺網にはイセエビを対象にしたものやハチビキ,ムツなどを対象としたものが秋から翌春にかけて太平洋岸で操業されている.また夏季にはブリ,ヒラマサ,シマアジなどを対象とした刺網も行われている.
一本釣りは沖合のカツオや沿岸のイサキ,マアジ,ヒメダイ,マダイ,ムツなどを対象としている.曳縄は主として夏季にカツオ類,ブリ,カマス類,シイラなどを対象に,延縄はカサゴ類を対象にそれぞれ行われている.これらの漁業は英虞湾口から太平洋岸にかけての海域で操業されている.
磯漁業は太平洋岸の岩礁地帯で行われ,アワビ,トコブシ,サザエ,アラメなどが採捕されている.養殖漁業は真珠がほとんどで,一部アオノリも行われている.魚類養殖は英虞湾内では行われていない.